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映評「タイトル、拒絶」 女性たちよ、生き延びよう!   

9月 10, 2021 by 女性ユニオン名古屋 0 Comments

コロナ禍で女性の自殺者急増

「仕事を失った女性74万人(男性32万人)」という数字があり、さらに「女性自殺者は今年増え続け、前年10月比83%増加(男性21%)」という事実が追いうちをかける。
ああヤダびっくり、女性にモロしわ寄せが来てるんじゃないの…と改めて気づかされる数字だ。非正規雇用の女性が職を失い収入は激減し、シングルマザーは生存のピンチ、
夫や子どものいる人は、学校の休校やデイサービスの閉鎖、さらには夫のリモート勤務などで育児や介護、家事負担は増加、イライラ男が家庭で起こすDVや性的虐待で
追い詰められる…という実態がここに表れている。ナ~ニが「女性活躍」だ、旗だけ振って具体的にはナ~ンにもやってこなかった現実がむき出しになってるじゃないの。
どう捜しても仕事がみつからない女性たちが、「セックスワークに行くしかない」と悲壮な決意をしても、アホなタレント岡村某が「コロナが終息したら、美人さんがお嬢(風俗嬢)やります」
などと侮蔑的な発言をする。ふん、テメーがセックスワーカーをウンヌンするな!と腹が立つが、私も「タイトル、拒絶」(2020/日本/山田佳奈)を見るまでは、
そこで働く女性たちの背景や心などについては知らなかったのだから、エラソーなことは言えない。

現代版「流れる」

雑居ビルにあるデリヘル(電話で呼ばれた女性がラブホテルなどに出かけ、客と疑似性行為を行う)に、5~6人の女性が待機している。そこで雑用をしているのはカノウ(伊藤沙莉)。
カノウは体験入店したものの、どうしても行為が出来ず、世話係になった。そこへ店一番の売れっ子マヒル(恒松祐里)が戻ってくる。いつも楽しそうに笑っている可愛いマヒル。
マヒルは店長の山下(般若)とお金を取ってセックスしていた。若さを失いつつあるアツコ(佐津川愛美)は、男性スタッフのハギオ(池田大)と関係があるし、キョウコ(森田想)は
若い見習いスタッフ良太(田中俊介)に自分の恋愛感情を押し付けウザがられている。すべてに超然としている年齢不詳のシホ(片岡礼子)、いつもノートに文章を書いているチカ(行平あい佳)
などが出入りする店内。ある時、若くてモデルのようなリユ(野崎智子)が入ってくることで、店の人間関係に不協和音が生まれ始めた、、、

「こんな構造の映画、以前に見たことがある」と思ったら、1956年、女性映画の巨匠、成瀬巳喜男監督の作品「流れる」だった。
女中、田中絹代の視点で、つぶれかけた芸者置屋の日常やその末路を描いた作品で、生活者重視の成瀬らしく、水商売や芸者という言葉からくる「美しい幻想」は全くない
異色の映画だ。置屋の存続のためには体を売らなくてはならない女主人(山田五十鈴)の追い詰められた状況や、ミシン内職をする娘、女同士のいさかいなどがリアルに描かれている大好きな映画で、
「マイ日本映画ベスト10」に入れている傑作。山田佳奈監督もこの映画を見てるのではないだろうか。
カノウは生活臭まるだしでトイレットペーパーを買い込んでは補充し、雇い主(店長)から理不尽に殴られても抵抗できない。店の男性たちは女性への軽蔑や嫌悪を隠し持ち、
時々それが吹きこぼれる。ストレスの多い仕事をしている女性たちの心は病みがちで、それを自分なりのやり方で必死に克服し生きて行こうとしている…
昭和の女性たちは三味線を弾きながら流れていき、令和の女性たちは「クソみたいな人生にタイトルなんていらない!」と悪態をつきながら生きていく。
なんか、女性の状況は70年ほど前より、たいしてラクになってないんっすけど…

生き延びて!

いま人気のある女優、伊藤沙莉の名がクレジットのトップにあるが、実は彼女は狂言回し。こんなに若い女性がデリヘル店で雑用係をやっている意味もあいまいだ
(「流れる」の観察者、田中絹代と同じく、「物書き志望者の取材」と考えるのが適当だろう)。真の主人公は、いつも機嫌よく、ニコニコと笑いながら仕事を積極的にこなす
マヒルではないだろうか。この映画のいくつかのレビューを読んだら、彼女を「サイコパス」と推察していたが、私はマヒルを「環境過剰適応者」ではないかと思う。
彼女は子どものころ義父の性暴力を受けているが、「お母さんの機嫌をよくするためには仕方なかった」と思うようにしたのをきっかけに、今のセックスワークも
「お金がたくさん儲かるいい仕事」と割り切って朗らかにこなし、「わたし、ヤリマンだもん」と楽しそうに人生を送っている・・・って、そんなワケないよね!
こんなマヒルが、企業で体を壊すほど働き、セクハラ、パワハラを受けながらも上司の意向に答えようとしている沢山の「過剰適応女子社員」とダブって見える。
こういう人間は自己評価が低い(あんまり自分を大事にしていない)から、死との親和性が高い。つまり、自殺しやすい。画面の中で、マヒルがビルの高いところに上って行くたびに
ハラハラさせられる設定は大変うまい。そろそろ盛りが過ぎ、この仕事が難しくなって焦っているアツコは「若さと美しさ」が能力より評価される今の日本の女性のシンドさと重なる。
「どんなイヤなことでも恋愛さえあれば耐えていける」とばかり、嫌がってる相手を力ずくで恋愛に引きずり込もうとするキョウコは、現実に向き合わないため「恋愛依存」に陥っている
若い女性に瓜二つだ。デリヘルなんていう特殊な世界を描きながら、今の女性たちの置かれている普遍的な問題につながっていくところがいい。それに、
そんな過酷な状況に置かれた彼女たちが「死なない」ところがなおさらいい。
マヒルは最後に「ああ、おなか減ったな~」とか言ってケロッとしてるし、アツコは自分のプライド守るために体張るし、キョウコは相手をとうとう取り込んだ。
そう、女はこうでなきゃイケません。
女性たちよ、みんな、死なずに生き延びて!

高野 史枝

Categories 映評 女の色めがね, ブログ

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